筋肉を切らない!
人工股関節手術
当院で行っている手術
どんな手術が
最も良い人工股関節手術
なのでしょうか?
さまざまな意見で今も議論されていますが、
当院では「筋肉を切らない!」
人工股関節手術を実施しています。
その手術の特徴として、
・股関節まわりの筋肉を切らず
→ 少ないダメージ
・関節包靭帯も極力切らない
→ 人工関節の安定性向上
・特別な技術トレーニングが必要な手術法
→ 術者の技量に頼る点がある
などの点があげられます。
今回は当院で行っている
この「筋肉を切らない!」人工股関節手術
について解説します。
最小侵襲手術による
人工股関節置換術
手術の技術が進歩するなかで
患者さんへの侵襲をより小さくする工夫
「最小侵襲手術」が人工股関節置換術でも
長年にわたり研究されてきました。
初めは「皮ふのキズを小さく」に始まり
次に「筋肉を傷つけない」に発展
今は「靭帯温存を考える」時代へ
このように技術が進歩してきた結果
当院でも実践している、
MIS-THA
(=最小侵襲手術による人工股関節置換術)
(=靭帯温存を考えた人工股関節置換術)
に発展してきています。
特に当院では
患者さんに手術台で仰向けに寝てもらって
手術を受けてもらう
仰臥位前外側アプローチ(ALSアプローチ)
によりスムーズな両側手術も実現しています
筋肉を切らない!
そもそも
筋肉を切らない、と聞いて
驚きましたか?驚きませんか?
もともと筋肉を切らないで
人工股関節手術ができる、と
お考えの方には
「筋肉を切らない!」
と言っても何の驚きもないでしょう
でも、
股関節を触ってみてください、
肘、膝、足首、手首のように
関節の動く部分の骨を触ることが
できませんよね???
筋肉に関節が覆われているからなのです。
股関節はたくさんの筋肉に囲まれ
それぞれが大切な働きを持っています。
それなので、
人工関節手術のために
大切な筋肉を切ってしまっては
その筋肉が働かないことで
術後に何らかの影響が起こることは
想像できると思います。
当院では
前外側アプローチと言う方法で
筋肉を切らずに、
筋肉の間を分けて
奥深い股関節に到達しています。
手術技術としての難しさと引き換えに
筋肉のダメージの少なさが
痛みや筋力など、
さまざまなメリットに繋がることは
想像に難くないと思います。
関節包靭帯も切らない!
筋肉を切らずに
股関節に到達できても、
人工関節に置き換えるべき関節構造は
関節包と呼ばれる膜に包まれています。
この膜を切り開かないと
股関節に到達できないので、
「切らない!」は言い過ぎで
一部切るのがホントなのですが、
以前の方法ではほぼ完全に
切除されていたものなのです。
実はこの膜には靭帯機能が付いていて
「関節包靭帯」として機能しています。
この「関節包靭帯」を
関節の状況に応じて極力温存する
人工股関節置換術が
いま最も技術的に発展したものとして
当院でも取り組んでいる方法です。
特に腸骨大腿靭帯の垂直成分と言われる
靭帯機能を温存するのですが、
「関節包靭帯」はもともと
股関節を安定化する機能があるので
人工股関節になっても
「関節包靭帯」が温存されていると
人工股関節を安定化させることが
期待されます。
しかしながら、
筋肉を切らないこと同様に
関節包靭帯を温存することも
手術難易度を高くするため、
そのメリットが
手術技術としての難しさと
引き換えになっています。
特別な手術技術トレーニングが必須
筋肉を切らない にしても
関節包靭帯の温存 にしても
通常の整形外科研修では
到底到達できない手術技術である
ばかりでなく、
股関節の手術を専門として扱う
専門家と言われるなかでも、
その技術習得には
特別なトレーニングが必須であるため
良い手術技術であるにも関わらず
その普及は全国でも
半数にも満たないのが現状です。
よく先生に話しを聞いてみましょう
どのような手術方法が適応できるか
この判断は専門医に任せるしか
ありません・・
股関節痛に対する手術として
人工股関節置換術を受けるときには
患者さん自身が
信頼できる専門医を受診して
いろいろ話しを聞いてみた上で
手術を依頼するのが良いでしょう。
「筋肉を切らない!」人工股関節手術は
さらに一歩進んで
「関節包靭帯温存も考える!」
時代になっています
今後も技術進歩の歩を止めず
最適な医療を提供できるよう
努めてまいります。
横浜町田関節脊椎病院
院長 宮島玄陽
股関節の診察を予約
「股関節の痛み」を理由に
初めて受診するときは
股関節外来をご予約いただくと
スムーズです。
痛みの原因が「関節」なのか
分からないときも
股関節外来をご予約
いただければ対応いたします。
ネット予約では問診やご要望を
あらかじめ入力できるので
是非ご活用ください。
初めての診察時には
股関節の症状、経過をお聞きする
だけでなく、
持病について
常用薬の内容をお聞きしたり、
これまで受けたことのある
健康診断の結果をお聞きします。
お薬手帳や検査結果なども
ご持参頂くとスムーズです。